◆ 生命の誕生
人間も動物も植物(種)も全て木に実る
・背の低い白い樹、葉はなく純白の樹皮、大きく広がる枝は地に垂れ細く堅牢、卵果(黄色い実)がなる
 ※熟してない実はもぎ取れない、人の場合は親以外はもぎ取れない?
・樹の側では殺生は許されず、獣も襲ってこない
 
◎里木りぼく――人、家畜、穀物など
各里の里祠にある
夫婦が供え物をし願いをかけ枝に帯を結ぶ、実がなって十月で熟す
 ※帯はめでたい模様を選んで工夫して自分達で刺繍する
 ※家畜は一月で孵る
夫婦がもぎにいくと落ち、卵果を一晩置いておくと実が割れて子供が生れる
 ※子供を願えるのは婚姻した夫婦のみ
 
◎野木やぼく――家畜以外の獣や鳥、草や木の種
草木(の種)がなるもの、獣がなるものの2種
山中にあり勝手にできる
野鳥や虫は、卵のもとになる素卵が野木に生り、啄むことで雛の入った卵を産む
海中にもあり、これは魚貝類や海藻類
 
◎路木ろぼく――各国の王宮のみにある
穀物は王のみが願える、王宮の路木に実がなると翌年国中の里木に種が入った卵果ができる
その国にない新種の植物も同様
路木の枝を挿し木することで里木は増える、但しその国土に限る
 
◎捨身木しゃしんぼく――麒麟と女怪
蓬山・蓬廬宮にあり卵果は金色、女怪は根の方になる
 ※女怪は1日で孵り捨身木の下で麒麟の卵果を守る
 
・里木にお願いする日
1日・鳥(鶏、鴨など)
2日・狗いぬ
3日・羊、山羊
4日・猪、豚
5日・牛
6日・馬
7日と9日以降・人
8日・穀物
 ※家畜は一月、人は十月で孵る
 
――婚姻についての補足――
家督制度というものがなく、男女の区別なく給田制もあり、子供を欲しいと思う時点で初めて婚姻が必要となる
・子供を願うには婚姻と同じ里であることが決まり
・他国の者とは婚姻できない
婚姻すると同じ里に転地をすることが許される
 ※このため別の土地に移りたいがために一時的に結婚する者もいる
婚姻なしの夫婦を野合やごうと呼ぶ

◆ 死者の扱い
各里には墓地があり、冢堂で死者の殯もがりを行う
死者は家族が引取って自分の土地の片隅に葬る
塚を作り、柄に白く塗られた梓の枝を刺す(冢墓)
※裕福な家なら祠を置き、物品を供えて供養、季節ごとに紙で作った衣類を供える
 
引取り手が来ない、家族がいない者、家族に土地がない者は客死とされ墓地の閑地に埋葬される
※引取り手が遠くて時間がかかる場合は仮葬される
7年で棺ごと掘り上げられ、冢堂で墓士はかもりに棺ごと骨を砕かれる、骨は府第の宗廟に納められる
 
埋葬―甕のような丸い素焼きの棺に入れて、棺を卵果に見立てて家族が軽く石で叩いてひびを入れ死者の再生を願う
 
山客が伝えた仏教の影響で死体を荼毘にする国――芳、雁、奏、漣

◆ 名前
戸籍に載る名前姓※親子の属性を示す、親が離縁しても自分が結婚しても一生変わらない
あざな呼び名
大人になって一人立ちしたら選ぶ
小字子供の呼び名
別字通称、別称、あだ名
いみな死んだ人の本名(本名を呼ばないのが礼儀)
おくりな死んだ人に生前の功績にちなんで付ける


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